【エンタメトレーナー/コンタクト】
野口 博人(演劇集団シベリア基地/代表・演出・脚本 )
エンタメにも様々な種類がありますが、こと私が取り組んでいる演劇というエンタメにおいて、身体の重要性はとても大きく、切っても切れないものです。役者の呼吸、筋肉、身体、これらの積み重ねの先に演劇は出来上がっていきます。なにより、実際の舞台上でお客様に伝わるのは、役者の身体を通じて発されたメッセージのみです。その一方で、作中にダンスや殺陣を行わず、会話劇を主とするシベリア基地にとって、身体表現は長年の課題でした。そんな中、ご縁がつながり千晶さんに旭川で『コンテンポラリーダンスワークショップ』を行っていただきました。自身の身体に対する感覚がどんどん更新されていくのがわかる、とても不思議な、心地よい時間でした。単回のワークショップで終わるのは勿体ないと思い、そのまま『エンタメトレーナー』として引き続き札幌公演に向けた座組に参加していただくことになりました。
札幌から旭川まで稽古に来ていただき、シーンを見ていただきながら身体の使い方、リズム、指の動かし方に至るまで、細かくアドバイスをしていただく。身体と感情は表裏一体で、身体の使い方を少し変えるだけで、演技や芝居の中身も充実していきました。エンタメトレーナーの仕事は稽古期間にとどまりません。小屋入り後も少し俯瞰の立場で座組を見ていただき、都度全体の力みを解していってくれました。劇団にとっての初めての札幌単独公演。自分含め、余裕がなくなってくる劇団員もいる中でメンタルフォローまでしていただきました。そして、芝居を良くするために、最後まで一緒に創作に付き合っていただきました。
これまで劇団員のみとの創作が多かった中で、千晶さんと一緒に劇作ができたのは本当に楽しく豊かな時間でした。これからもお世話になります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
演劇集団シベリア基地 https://shiberiakichi.com/
【コンタクト/エンタメトレーナー】
ダンスのWSで、座学から始まったことに最初驚きましたが、理論的に本来の自分の身体を認識したことで、可動域が負荷なく広がっているなとWS全体を通して感じました。いつもより自分の体を操作しやすかったです。やはり何事も「知っている」ことって大事なんだなと。今までなぁなぁで動いていましたが、これからは人体構造を踏まえて上で動かしていきたいです。団員みんなの初めましてな身体の使い方も知ることができて面白かったです。
社会の中で他人と触れ合う機会は少なく少し抵抗はありましたがとっつきやすいところから始めてくださいました。自然に触れて感覚を研ぎ澄まし、相手を信頼して体を預け、二人で一つの作品になる感覚が心地よく感じました。
日常生活から、自分が外からどう見えているかの意識。舞台に立っている時だけでなく、道を歩いている時、座っている時、ただ立っている時、全ての自分の状態に意識を向けるようになりました。そして、違和感を覚えた部分をどう修正したらいいのか、わかるようになりました。今でも気を抜いたら姿勢は悪いけど、前よりは比較的綺麗な姿勢でいられる時間が増えたなと思います。
自分の身体と向き合い、ニュートラルにすることで新たな発見がありました。
身体の一部分を意識して動かし続けていると踊っているように見えたのは感動的でした!
最後のJamの時間、触れ合った人と混ざって溶けてひとつになりたいと言う気持ちになりました。インとかアウトとか学んだことがすっかり抜け落ちて、触れたい混ざりたいという欲求だけが残りました。こんな気持ちは初めてかもしれません。また、触れ合うことで団員の新しい顔が見えた気がします。こんなに相手に遠慮がちなんだなとか、グッと来てくれる安心感があるなとか。これを今回の特別なものではなく、当たり前にできたらなと思います。
開場後、開演までの時間の過ごし方。開場後の30分間を今まで以上に、開演後を意識して過ごしていました。身体をほぐして、呼吸を整えて、30分声を出さずに待っていた時間をマイナスにしないように。これが一番自分として変わったなと思う部分です。気持ちや内面にばかり目を向けていたけれど、どの席のお客さんにも伝わる情報は身体の表現だよなと。身体は今でも定期的にほぐすようにしています。
普段は言葉(会話)の多い劇団なので、言葉に頼らないコミュニケーションが新鮮でした。会話がなくても身体の表現や力加減で通じる瞬間がわかって、劇団員との距離が今までより近くなった気がします。身体を目一杯動かして楽しかった!
『踊り』と聞くと身構える人もいるかもしれません。けれどワークショップを通じて、生活の中に身体はあって、その延長線上にあるものが『踊り』なんだと腑に落ちました。そこと丁寧に向き合うことが、結果的に地に足の着いた舞台作品につながるのだと思います。戯曲や台詞を通して作品を作る『演劇』という創作をしていると忘れがちですが、非言語のコミュニケーションの豊かさと大切さを改めて確認することが出来ました。
アドバイス頂く前と後では気持ちにも変化が起きていることに気がついて、体の使い方を変えることでより感情が深まっていることに驚きました。
【コンタクト】
コンタクトインプロヴィゼーションのワークショップ
コーカー ケイトリン クリスティーン(北海道大学 文学部 准教授 )
この度、UniqueRhythmicの河野千晶さんを招いて、北海道大学の「舞踊学」という授業の学生に対してコンタクトインプロヴィゼーションのワークショップを千晶さんに行なっていただきました。
舞踊学の授業ですが、学生のほとんどは踊ったことがありませんでしたが、千晶さんの明確でわかりやすい指導を受けて安心できました。最初は学生がペアになって、一人が目をつぶって、もう一人が目をつぶっている方を案内する役になって、屋外を探検しました。その時、普段からとても真面目な学生たちの表情は、手で触れたものへの驚きや相手の驚きから得た喜び、純粋な楽しさに溢れていました。目をつぶることで、手の感覚が活性化し、そしてそこからさらに全身の感覚が開かれていくようなワークショップでした。コンタクト(接触)を通して、学生が自分自身の体を感じて、さらに相手の動きとその意図を読み取ることができました。つまり、何も言わずにコミューニケーションをとれるようになっていました。
大学の授業というと、言語中心になって、言葉でさまざまな知識を身につくことが多いと思いますが、千晶さんのワークショップで学生たちが体を通して意思疎通ができて、体でできるという知恵を身につけることができました。学生に貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました!
私は普段美術を教えておりますが、コンタクトワークから気付かされることが多いです。たとえば、美術は視覚に頼る所が大きいと思うのですが、そのせいか他の感覚器官がないがしろになってることがあります。手で触れて相手のポーズを想像して、真似してみるというワークは、まさに視覚に頼らずに立体空間を把握するよいワークだなと思いました。
おそらくコンタクトワークはダンス以外でもあらゆる分野でヒントになる「気付き」がたくさんあると思いました。
日向ぼっこのような時間でした。普段は足の裏をひたひたと地面に接しながら周りを知覚していたのかもしれません。コンタクトワークによって転がったり脚では無い部分が支えになることで、重心がどこに移動していくのかと知覚がワクワクしだし、体の中で慣れにより鈍っていた水平器の気泡が落ち着くところを活発に探し出していくように感じました。その過程のなかには相手の温もりが満ちていて…体の中の変化を安心して受け入れていられる不思議な時間でした。
相手を信頼して身体を預けること、お互いの身体を感じながら周りにも気を配りつつ動くこと等、少しずつ学んでいる気がします。上手く動きが流れていった時の気持ち良さは何度も体験したくなりますね。
【エンタメトレーナー】
エンタメトレーナーを受けて
三瓶竜大(ポケット企画 代表)
千晶さんと出会ったのは高校生の時でした。micelleのコンタクト・インプロビゼーションのワークショップに参加したことがきっかけです。正解や不正解のない即興的な踊りを楽しむことができる空間に魅了され、気がつけば同級生を誘って毎月のように通っていました。
「踊りって不思議なんだよね。」と踊りながら言う千晶さん。「同じ身体は存在しないからさ、その出会いが面白いんだよね。」お腹に赤ちゃんがいるときも生まれた後も踊っていた千晶さん。僕はどんな状態でも踊り続けている千晶さんの方が不思議でなりませんでした。「千晶さんはいつでも踊っていますよね。」単純な疑問を呟いたつもりが…、「うん。でもそろそろ若い人たちの困難にもしっかり向き合いたくて。私の時代は踊ってなんぼだったけど、そうじゃないやり方は絶対あると思うから。」と、思いがけず、真面目な返答。コロナの時期で活動も疎になっていた時勢柄、僕たちアーティストはいろんなことを考えていました。「ダンサーに限らず。相談に乗ってあげられる大人でいたいなぁ。」
高校生から変わらず、第一線のアーティストから技術を教わるということに関して渇望していた僕は、そんな時期だったからこそ思い切って、アドバイザーとしてポケット企画の公演へ誘ってみました。それから、なんやかんや、紆余曲折あって、ポケット企画で一緒に作品を作ることになり、役割って何になる、ドラマトゥルグでもないし、名前何にしよう、あ、ヨーロッパの事例が、あ、これは長いしいまいち意味が通らないじゃん、いやこれなら、
『エンタメトレーナー』爆誕!!
ポケット企画の課題として「身体性」は今も当時も変わらず在り続けています。舞台上で魅力的に立つ方法は舞台俳優よりも身体のことを見続けているダンサーの方が知っていると感じていました。千晶さんは人の個々の身体を尊重し、何気ない日常会話から、表象する身体の癖や特徴を見抜きます。カバンの持ち方や、寝方、立っている時の重心、組むことの多い足など、意識しないと解らない癖から身体はズレていくことを最初に教えてくれました。
エンタメトレーナーとして立ち姿からアドバイスをいただき、今は声や意識の置き方に関して一緒に考えてくださっています。こちらのH Pの実績にもありますが、千晶さんが関わってくださっている公演は一番良い賞をいただいているので、内外からの評価も申し分ありません。
「新しいことにはずっと興味があって、俳優にも挑戦してみたい。小さい頃の夢はアイドルで、今もそれはあんまり変わっていない。」現在もダンス作品を作りながら、新しいことへの興味も絶えないパワフルエンタメ母ちゃんトレーナーの千晶さん。稽古方法に停滞を感じている方や、身体について考えたい皆様。そして、アイドルプロデューサーの皆様。連絡してみてはいかがでしょうか。
ポケット企画URL:pocket-kikaku.com
【エントレ】
エンタメトレーナーをお願いして、の感想
小林輝雄(札幌大谷高校演劇部顧問)
CHIAKIさんと仕事をすると、とても気持ちがいい!ダンサーとしての実力もさることながら、トレーナーとしての経験も兼ね備えたとても稀有な人である。そして、僕らが相手をする若い年齢の人達にも解る言葉で、明確に伝える言葉を持っている方である。
CHIAKIさんの人柄自体は、とても気さくで、しっかりと話を聞いて頂ける方である。初日の打ち合わせでは、台本を渡しながら、こちらのやりたい事(高校演劇では行わないような事)を真剣に聞いてもらい幾つかの提案をしてもらいました。
特に今回はコンタクトインプロの手法を使う事で空間を歪める事が演出的な命題であったので、生徒に未知の領域を理解させるためのWSと・クリエイションのスケジュールの提案を受け、短期的な目標設定ができ、稽古が活性化しました。また、「頭の位置を変える事でダイナミックに見える」など動きに対する意見も的確でした。また、演出をしていると失いがちな「初見」で、「どう見せるか」と「見えない事」をしっかりと区分けして貰えたのは、シンプルで演者の動きを最大限に生かす方法が明確化して、限られた稽古期間を有効に使う事ができました。
生徒に対してのアドバイスも、明るく・優しく・楽しんで接する事で、やる気を引き出して頂けたのも顧問の私としてはとても助かりました。結果、「CHIAKIさんが来るから、〇〇ができるようにしておこう」「△△を聞いてみよう」と個々の俳優の目標設定とモチベーションにも繋がりました。おかげで顧問一人ではできない作品を作り上げる事ができ、感謝の一言です。
長くなりましたが、CHIAKIさんは私たちにとって、良きトレーナーであり、もう一人の出演者であり、伴走者です。今後、高校演劇界は専門性を持った人が劇作の協力者となって、顧問一人ではできない事をどんどん取り入れて演劇の多様性を担保する必要があると思います。特色のある舞台が増える事で、観客の興味関心が高まり、それぞれの学校・集団の質の向上、集客の増加、生徒のスキルアップ・良い俳優を排出する事で、札幌演劇界の活性化に繋がると思っており、CHIAKIさんはその一端を担う方だと確信しています。CHIAKIさん、今後ともよろしくお願い致します。また一緒に走りましょう。
新しいことがどんどん自分にインストールされていってとても気持ち良かったです。
道具の使い方の幅も広がり、今後の劇に活かしていけることを知ることができました。自分たちだけでは考えきれなかった身体の動かし方で、台本を表現できたのが嬉しかったです。
基礎であるストレッチの正しいやり方やカウンターバランスという動き方の動き一つ一つがとてもタメになるものばかりでした。
今まで膝をとにかく伸ばすことばかり考えてストレッチをしていたのですが、それではしっかりと伸びないこと、坐骨を浮かせるのがよく伸びるというのははじめて知ったことでした。
自分の体ってこんな動きが出来るんだという新しい発見がありとてもためになりました。
CHIAKIさんがお手本で見せてくださった動きが、魅力的で私もいつかああやって身体を使えるようになりたい!と思いました!ワークショップも時間があっという間に過ぎてしまうくらい楽しかったです! ありがとうございました!